はじまり #2

2015年

 

彼女は想像通り”優秀”だった。

特に化粧品の知識が豊富でドラックストアでは重宝する。

さらに彼女はコミュニケーション能力も高かった。

すぐに従業員、またお客様と仲良くなり周りにはいつも笑顔があった。

 

その時私は彼女の”秘密”をまだ理解していなかった。

希望#2

2018年8月20日

 

そこにはいつもの笑顔が変わらずあった。

胎動は感じるが先日までの前駆陣痛は落ち着いているようだ。

 

運命の日が近づいている事を期待しながら

私は気にしないように自身に言い聞かせ

変わらず仕事へ向かった。

 

そんな今日は私の誕生日である。

はじまり #1

2015年

 

僕らは出会った。

 

私の勤務する店舗(某ドラックストア)にバイトの面接に彼女が現れた。

彼女は素直に、美しく聡明な出で立ちだった。

履歴書に目を通す。

彼女は中卒だった。

学歴を見た私はどこにでもいる平凡な店長だ。

だが彼女は美しかった。

履歴書に目を通す。

最終就職先・・・医学協会

履歴書に目を通す。

資格が1つ2つ・・・履歴書びっしりの資格が記載されていた。

美しく、中卒、そして医学に携わった経験のある多数の資格保持者。

合否の判断なぞそこには必要あるはずもなく

「採用」

10分程度の面接で私は即採用を決めた。

 

これを読む人は私が見た目で採用を決めたと思うだろう。

 

希望 #1

2018年1月1日

 

「ともちゃん、妊娠した。」

「そか。」

年が明け、なにもない仕事のない昼時に

妻のいつもの”たわいのない”呼びかけに私はいつもの”お決まり”の

返事をした。

「・・・?」

妻のいつものたわいのにない呼びかけを私は思わず聞き返した。

 

なぜ聞き返したか。

その理由は言葉では非常に安直だが、不妊症」であったからだ。

さらにセックスレスのおまけつきだった。